第24話:~育成には自己理解と他者理解~

ラ・ポール株式会社

弥生三月、暖かな陽ざしに春の訪れが例年よりも早く感じます。
週末の明るいニュースは何といっても卓球世界選手権で男女ともに決勝戦進出。
素晴らしい快挙。そして、伊藤美誠選手の15歳とは思えない精神力に感動しました。


さて、今回のコラムはクライアント先でお困りの部下育成について

「教えたこと、指示をする際、伝えたことは頷きながらよくメモを書いて
聞いてくれています。返事はいいのですが、思い通りに動いてくれず、
なかなか結果が出ないのはどうしたらいいのでしょうか?」というご質問


計画通り思い通りにいかないケースはどこでもあること。
しかし、繰り返しになると、教育する側が"何がいけないのか。
私の指導の仕方が悪いのか。どうして分かってもらえないのか。相手の理解度が低いのか。それとも..."と
自分対相手のどちらがいけない(悪い)という欠点(弱点)にフォーカスする
傾向にあるように思います。


対人関係において、どちらが良い悪いという判断基準による解決は
困難であることが理解されていても、日々忙しい実際の現場では
これまでの固定観念や思い込みで困っているリーダーは少なくありません。


ここでひとつ考えて頂きたい点がひとつあります。
1、2度の指示(注意)で改善出来ていないと、3度目には「いつも出来ない。」と、
毎度のことのように思い込んでしまっていないでしょうか、という点です。

コンサルティングでは、

「相手の心は手に取るようにわかるわけではなく」そして、「脳内プログラムがわかるわけでもありませんね」とよく話しています。

その見えない心(感情)や思考に、どのような育成をしていくといいのか。

その鍵は「言葉」により達成されます。

その言葉のつかいかたが、「状態をつくります。」

例えば、指示したことに対して

すぐに行動に移せる部下(Aさん)。何度言ってもなかなか行動に出来ない部下(Bさん)。

この差はなぜ、起こるのでしょうか。

AさんとBさんの会話

Aさん:さっき、師長さんから教えてもらったこと。すぐにやったほうがよさそうね。

Bさん:そう? すぐにする必要あるのかな~ ん~ はじめて聞いた話しも多かったし、頭の中を少し整理してからやった方がいいと思うけど

Aさん:すぐにやらなきゃ。

Bさん:ん~~、でも、いきなりやるのはどうだろう。他の新人もどうするか、

   しばらく様子を見てから実践した方がいいんじゃない?

Aさん:とりあえず、やろう!

Bさん:とりあえずって、言っても... いきなりしても上手く行かないかもしれないし、

もう少し情報を集めたり、理解を深めてからがいいよ。

Aさん:いや、早速やらなきゃ

Bさん:ん~~、早速ねぇ~。でも、ちゃんと理解してから実践した方がより上手に実践で

きるし、効果もあると思うんだけどなぁ...

このような部下たちには

どのような育成をするでしょうか。

指導者が一斉に指示を出したらとしたら、その内容にすぐに動ける部下と動けない部下の差が生まれます。この差に着目すると、

例え同じような伝え方をしても、行動までのプロセスは異なっていることが理解できます。

すぐに行動することを望むのか。じっくりと考えてから行動することを望むのか。

目的は行動するだけでいいことなのか。

やはり、理想とする結果を出すことが主な目的でしょう。

そうした時には相手の個別性に応じた、伝え方つまり言葉の選び方がポイントとなります。

すぐに行動に起こせる部下ならば、主体的に行動できる人材

じっくり考えてから行動に起こす部下ならば、反映分析ができる人材

このように捉えると、相手の特性に合わせた教育が必要だということが理解できます。さらに仕事の各場面において、どちらがその場面では適材なのかを視野に入れることにも繋がります。

何のために、教えるのか(伝えるのか)において、相手の理解の仕方つまり「認識のスタイル」と言動化できる「言葉の選択」が重要だと考えます。

そして、肝心なのは 指導者がどのような特性があるのか。

(主体行動スタイルか反映分析スタイルか。目的志向スタイルか問題回避スタイルか。)

まずは指導者の自己理解がなされ、その後部下の他者理解を行う。

そうすれば伝達はより一層効力を発揮するでしょう。

育成では自己理解と他者理解の2つが方向性と結果を決めるといっても過言ではないと思います。

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少しでもお役に立てましたら嬉しく存じます。