DX時代の医療接遇・再定義。〜選ばれる組織、3つの条件〜

ラ・ポール株式会社

「人手不足の今、接遇なんて二の次だ」 現場から聞こえるその切実な本音を、私はこれまで何度か見聞きしてきました。
私が一貫して提唱し続けてきたのは、接遇こそが「医療安全」に直結しているという事実です。 DXによる効率化が進む今、この確信はもはや理想論ではありません。組織の存続を分ける「戦略」として、接遇を再定義すべき時が来ています。

今回のまとめ(クリックで拡大)
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【安全管理の再定義】丁寧な言葉は「最強のリスク管理」である

接遇指導で最も陥りやすいのは、言葉遣いを「礼節」として教えてしまうことです。しかし、医療現場における丁寧な言葉遣いの目的は、「情報を具体的に明確にし、心理的安全性を確保すること」にあります。

たとえば、リーダーが部下に声をかける場面を想像してください。

A:「〇〇さん、今いい? 手が空いてたらこれやって」
B:「〇〇さん、今お時間よろしいですか? 手が空いていたら、こちらをお願いできますか?」

このわずかな差が、部下の「いま、ちょっと疑問があるのですが」という一言を引き出せるかどうかの境界線になります。 日頃の言葉遣いは、重大な事故を防ぐための基盤である。 そう定義し直すだけで、現場の意識は「義務」から「安全の確保」へと変わります。

【価値創造の再定義】効率化(High Tech)が進むほど、人間力(High Touch)が光る

多くの医療機関が自動精算機やWEB予約を導入し、業務の「High Tech(効率化)」は進みました。 しかし、システムは「時間」を生み出せても、「安心」は生み出せません。

今、プロのスタッフに求められているのは、システムには不可能な「間(状況・状態)を読む力」です。

  • 「効率は助かるけれど、最後は人の笑顔で見送られたい」
  • 「システムは便利だけど、この不安を一言だけ聞いてほしい」

機械が効率を担ってくれる今こそ、生み出された時間を患者さんの「心の状態」に向ける。 「自分が患者だったら、今どうしてほしいか」という視座を持つプロを育てること。 これこそが、数ある病院の中から「選ばれる」ための決定的な差別化になります。

【組織文化の再定義】接遇は「一過性のスキル」ではない。信頼を積み上げる「振り返りの習慣」である

接遇力は、一度の研修で身につく「技術」ではありません。 日々、自身の言動を省察するプロセスそのものが、組織に根付く「文化」となります。

大切なのは完璧を目指すことではなく、 「振り返る習慣」をチームで共有することです。

  • 「今日は忙しさで、言葉が刺々しくなっていなかったか?」
  • 「患者様の不安なサインを見落としていなかったか?」

一歩進んで、二歩下がるような地道な振り返りこそが、組織に「信頼」という年輪を作ります。 その積み重ねが、結果としてスタッフ自身の 「このチームで働いていてよかった」という働きがいへと繋がっていくのではないでしょうか。

振り返りの習慣が信頼を育てる


接遇力とは、単なる「おもてなしのテクニック」ではありません。 「関わるすべての人と、最善の関係を築くための武器」でもあります。

上司も部下もチーム全員が互いを敬い、患者さんに寄り添い、共に振り返る。 このサイクルが回り始めたとき、貴院は単なる「医療提供の場」を超え、 地域から、そしてスタッフから「選ばれ続ける病院」へと進化を遂げるはずです。

最後までお読みいただきありがとうございます。 貴院のご発展にお役に立てましたら幸甚に存じます。

下記URLに、言葉づかいの書き換えシートを添付しました。貴院スタッフの皆さんの言葉づかいのレベルはどのくらいでしょうか。 ぜひ、ご活用くださいませ。