クレームを起こさない患者対応~病院受付終了後~
クレームを起こさない患者対応 受付事務の大事なポイント
ある医事課長さんから「断り方を教えてください」と言われました。
診療受付時刻を過ぎて来院した患者さん対応でのことです。
病院受付業務においては、知りたいことのひとつではあります。
受付終了時刻ギリギリに来院する患者は、受付スタッフにとっては面倒?だったりします。
あなたの病院(クリニック)でも、あるかもしれません。
しかし、私は、「断り方」は教えることはできません。と返答しました。
コミュニケーションとして、「伝え方」を伝えることはできるのですが
そもそも論が、私の提案したい医療接遇とは異なるからです。
なぜ、この患者は今、受付をしたいのか。その理由が重要
なぜか
「断る」という姿勢ではなく、この時間にどうしてこの患者さんは来院して受付をしたいのか。
ということをまずは、配慮することが私が提案する医療接遇だからです。
つまり、何のために来院したか?
目的です。
痛みや辛さがあるか、あるいは時間の都合なのか
理由があって、今日の診察を希望しているのです。
そのことを、忘れてはいけないのではないでしょうか。
簡単に「今日の診察は終わりました」と伝えて、断るのか。
それとも、相手の状態、状況に配慮するのか。
「断る(できない)」というスタンスから、「できること」を伝えることの重要性を医事課長さんに提案しました。
「断り方」→「伝え方」のポイント
①「申し訳ございません、本日の診察受付は〇時で終了しましたが、時間外診療のご負担がありますが、よろしいでしょうか」
②「申し訳ございません、本日の診察受付は終了しましたので、痛みが強いようでしたら、診察できる他院様をご紹介しましょうか」
③「明日、朝一で診察はいかがでしょうか」
④「本日は診察が終わりましたが、明日ご来院できるようでしたら、直ぐに診察できるように、今、書ける範囲で問診をお書きになりますか」
伝え方で、印象はこんなにも変わります。
あなたが患者だったら、どのような対応の病院(クリニック)にかかりたいですか。
医療接遇力は、"自分だったらどうして欲しい"という気持を、言葉と行動で伝えることで強化されていきます。
命をサポートするからこその配慮
物品を購入する業種では、在庫がなければワクワクしながら待つこともできます。
あるいは、他品を検討する余地もあります。
しかし、医療は、痛みや辛さ 負の状態を改善、解決するという役割です。
それが、医療接遇の難しさでもあります。
「断る」のではなく、「この患者さんの希望に少しでも応えてあげよう」
その在り方が、患者さんの心の苦痛を緩和することはできるのです。
それが、医療安全にもつながり
そして、「あなたが対応してくれて良かった」「この病院(クリニック)で良かった」と患者さんの満足の気持ちは芽生えるのです。
【今回のコラムのまとめ】
*「断る」のではなく、「相手の状態、状況に配慮する」
*受付スタッフの心配りが、自院の評価につながっている
*日々の業務の在り方が、自院の評価に反映している
著作情報

【書籍】看護師のための 医療安全につながる接遇~自分と患者を守るコミュニケーション力~
「医療」の評価は「接遇」で決まる!単なるマナーの紹介ではない、「なぜそうするのか」を理解・納得して実践できる新しい接遇の教科書
執筆者の紹介

福岡 かつよ(医療接遇コンサルタント)
厚生労働省の外郭団体に勤務し、医療や介護の現場を対象にしたさまざまな調査研究に携わり、これをきっかけに医療機関における接遇に取り組む。
以降、20年以上にわたり医療介護現場に特化し、接遇を通じて現場を活性化させるべく、10万人を超える医療現場を支える医療者の皆さんと共に、安心・安全な医療環境のために研修・講演を行っている。
「医療接遇のこたえは、現場にある」というのが福岡かつよの長年の信念。
「日本の医療現場を医療接遇で元気にしたい!」その一途で、全てのクライアント様に、福岡かつよ自らが訪問し、講師・コンサルタントを務めている。
著書に「医療安全につながる接遇」など。研修・メディア取材のご依頼はこちら