医療接遇の生み出す効果とは?~コロナ禍でどうしたらいいの?~

ラ・ポール株式会社

医療接遇は、医療安全に直結し経営に影響します。

予測しなかったコロナウィルス
外出自粛が広がり診察控えをする患者さんが増えてしまい
"以前のようには戻らない" "これからどうしていけばいいのか・・・"

あるいは、リスクがありすぎて "このまま、医療に従事していけるのか・・・"と
悩んでいませんか?

東京商工リサーチによりますと、診療所の倒産件数が前年比倍増、過去30年間で3番目の水準になったと報道されています。

2021年(1-12月)の診療所(病床数20未満)の倒産(負債1,000万円以上)は、22件(前年比100.0%増)で、前年から2倍増。1989年以降では2009年(27件)、2019年(23件)に次ぎ、3番目に多かった。前年を上回ったのは2年ぶり。
コロナ禍が起因した倒産は11件(前年ゼロ)で、全体の半数(構成比50.0%)を占めた。

FireShot Capture 092.png

コロナ禍になり、患者さんは何に注目しているのか?

これまではいつもどおり、ある程度の対応を保っていれば、問題も起きていなかった医療機関も多かったと思います。

今、私たちは「このお店は、きれいにしているから感染率は低いかも」「ここは、トイレはいつも掃除されているので大丈夫だろう」と、一歩外に出ると同時に、感染リスクを入念にチェックするようになりました。

医療現場も、もちろん同様です。

清潔であることは、医療現場では絶対的に必要なことはご承知のとおりです。

では、あなたの病院では、自信を持って感染対策をしてきたと言い切れるでしょうか。
正直なところ、「ハイ」と二つ返事で返せたらいいのですが・・・
現実は難しいのではないでしょうか。

危機的状況において、医療機関を選択する理由のひとつに、更に感染対策が重要になりました。

コロナ禍でも、過去最高の実績を上げているところもあるの?

一方、コロナ禍でも過去最高の実績を出している医療機関もあります。
その大きな要因は、感染対策の徹底にあったと私は判断しています。

それが、なぜ、接遇に関係しているの? と思わた方もいるでしょう。
接遇は、患者との対応やチーム間でのコミュニケーションということだと捉えている方も多いかもしれません。

もちろんそのとおりですが、私がまず初めにコンサルティングで提案していることは環境整備です。
それが、過去最高の実績に直結していたのです。

なぜ、過去最高の実績になったのか?その要因は

患者さんから口コミ★5つの高評価を得ることは、満足を超えて感動レベルの時です。
感動される接遇応対になるには、まずは目配りができることから始まります。

100人の患者さんがいるとしたら、100通り以上の対応があります。
患者さんの状態は、一人ずつ、その時、その場に応じて変化しています。

変化する中で、どのように患者さんの様子を把握するかで医療の質にも影響します。

多くの医療機関では、院長先生、看護部長さん、事務長さんがスタッフに「待合室での患者さんの様子をよく見るように」と注意を促しています。
しかし、患者さんに目配りをしたいのに、業務に追われ多忙だったりするとなかなかできない場面もあります。

では、目配りができるようになるには、環境整備から始めることがです。

環境整備のポイントは5つです。
1.整理
2.整頓
3.清掃
4.清潔
5.習慣化

そして、環境整備が及ぼすことは
1.清潔→感染予防
2.安全→動線確保・緊急時対応
3.迅速→物を探す時間の減少
4.精神的要素→乱れた環境を正すことで、安定する

これらが徹底していたことが、コロナでの影響をあまり受けなかった医療機関です。

患者さんは「この病院は(このクリニック)は安全だ」と察知し、安心して再来院に繋がっていたのです。

こまめなトイレ掃除、手の触れる場所を拭く、問診時に使用する筆記用具を使用の度に拭く といったことは、すでに当たり前のように実践していたのです。

患者さんは、医療スタッフの動きや院内の清潔不潔をよく観察しています。いかに感染対策に注力しているのかを知っていたのです。

safty.jpg

医療接遇は患者さんのためでもあるが、医療者自身も守る

このように、できることを徹底していることでした。
このことは、患者さんを守るためでもありますが、実は、医療スタッフ自身も感染から守るためにあるのです。

改めて、医療の基本である清潔であることが、今後の医業経営に直結していたとも言えるのではないでしょうか。

【今回のコラムのまとめ】
*医療接遇は挨拶や笑顔だけでは、ない
*集患、増収には、医療接遇がカギ
*医療接遇強化には、環境整備から

著作情報

看護師のための 医療安全につながる接遇

【書籍】看護師のための 医療安全につながる接遇~自分と患者を守るコミュニケーション力~

「医療」の評価は「接遇」で決まる!単なるマナーの紹介ではない、「なぜそうするのか」を理解・納得して実践できる新しい接遇の教科書

中央法規出版 書籍紹介ページはこちら

執筆者の紹介

福岡 かつよ(医療接遇コンサルタント)

福岡 かつよ(医療接遇コンサルタント)

厚生労働省の外郭団体に勤務し、医療や介護の現場を対象にしたさまざまな調査研究に携わり、これをきっかけに医療機関における接遇に取り組む。
以降、20年以上にわたり医療介護現場に特化し、接遇を通じて現場を活性化させるべく、10万人を超える医療現場を支える医療者の皆さんと共に、安心・安全な医療環境のために研修・講演を行っている。
「医療接遇のこたえは、現場にある」というのが福岡かつよの長年の信念。
「日本の医療現場を医療接遇で元気にしたい!」その一途で、全てのクライアント様に、福岡かつよ自らが訪問し、講師・コンサルタントを務めている。

著書に「医療安全につながる接遇」など。研修・メディア取材のご依頼はこちら