パワハラにならない育成でのポイント
今年の新人育成は順調ですか
医療機関ではコロナ対応も、分かってきて今春は新人育成にも注力できるようになったことだと思います。
新年度が始まり丸2ヶ月、先日訪問した総合病院では新人看護師が先輩看護師の指導のもと、病棟業務にあたっていました。
一日も早くひとり立ちして欲しい先輩看護師と、不慣れでなかなか上手く仕事をこなせない新人との場面で、どのように育成を進めていけばいいのかヒントを今回はお伝えします。
あなたの指導がパワハラだと言われないようにするヒントは
先日伺ったクライアント様で、部署長の方から「部下をどのように指導したらいいのか、パワハラ研修を受けて、指導の際の言葉一つ一つがパワハラにならないだろうかと考えてしまい、言いたいことをうまく伝えられていません。なんと言って教育したらいいのでしょうか」と、ご相談を受けました。
多くのリーダーや指導者(先輩)は、このようなことはあるのではないでしょうか。
時代背景もあり、育成だと思って発した言葉が、パワハラだと言い出す部下もいたりします。
この部署長さんは、私とちょうど同世代だったので、私たちが新人だったころの話が出ました。
30年以上前は、上司や先輩に注意されるのは日常茶飯事で、できない自分の不甲斐なさから
先輩上司の言い方には、あまり意識することはなかったように記憶しています。
そんな新人時代を経験した者からすると、それが一つのモデルになっています。
教えてあげて、早くできるようにしてあげたい!という気持ちが先行しすぎると
場合によっては、感情的に聞こえてしまうこともあります。
ひとり一人の新人の成長度合いに合わせ、見守り育てようとしても、限界があると
どうしても強く言いたくなってしまいます。
では、どうすればいいのでしょうか。
私の見解では、感情論で話さないことだと考えます。
「なぜ、私は部下(後輩)に、そのことを言いたいのだろうか」とまずは、セルフトークしてみることをお勧めします。
つまり、自問自答すると、目的が明確になります。
それによって伝え方、言葉の使い方、表現の仕方が変わるのです。
一つの出来事が起きると、思考と感情が芽生え、そして、言葉と行動で想いや考えを伝達して、結果です。
伝達のメカニズムを活用して、思考と感情が起きた時点でセルフトークをするといいのです。
ポジティブ感情での発信か、ネガティブな感情での発信なのか。
自分自身の状態を知ることでも、伝え方は変わるのです。
なぜ、そのことを言いたいのか。
パワハラではなく、その目的を基にコミュニケーションをとってみてはいかでしょうか。
育成は、その人の成長を応援したいということは事実です。
【今回のコラムのまとめ】
*部下育成は、感情論ではない
*得手不得手があると心得る
著作情報
【書籍】看護師のための 医療安全につながる接遇~自分と患者を守るコミュニケーション力~
「医療」の評価は「接遇」で決まる!単なるマナーの紹介ではない、「なぜそうするのか」を理解・納得して実践できる新しい接遇の教科書
執筆者の紹介
福岡 かつよ(医療接遇コンサルタント)
厚生労働省の外郭団体に勤務し、医療や介護の現場を対象にしたさまざまな調査研究に携わり、これをきっかけに医療機関における接遇に取り組む。
以降、20年以上にわたり医療介護現場に特化し、接遇を通じて現場を活性化させるべく、10万人を超える医療現場を支える医療者の皆さんと共に、安心・安全な医療環境のために研修・講演を行っている。
「医療接遇のこたえは、現場にある」というのが福岡かつよの長年の信念。
「日本の医療現場を医療接遇で元気にしたい!」その一途で、全てのクライアント様に、福岡かつよ自らが訪問し、講師・コンサルタントを務めている。
著書に「医療安全につながる接遇」など。研修・メディア取材のご依頼はこちら