【採用難時代の病院経営】新人の「早期離職」を防ぎ、定着率を高める育成の2つの柱

ラ・ポール株式会社

新年度がスタートしました。今期迎え入れた新入職員が、貴院の最前線で活躍するスタッフへと成長し、定着していくために。医療現場コンサルタントの視点からぜひお伝えしたいことがあります。

それは、「早期離職を防ぐための仕組みづくり」です。多大な時間とコストをかけて採用した人財が、わずか数ヶ月で辞めてしまう事態を防ぐには、「この病院でずっと働き続けたい」という思いを育む「入職時の育成体制」が鍵を握ります。

【本コラムの要点:現代の育成に必要なパラダイムシフト】

  • 脱・スキル偏重: 育成の軸を「個人の能力」から「自院の理念」へシフトする
  • 欠点是正からの脱却: 「できない今」ではなく、「なりたい未来像」を共有し、心理的安全性を高める

「私たちが新人の頃は...」はもう通用しない

一般的に、新人育成は現場の先輩が実務を教えることから始まります。しかし、その指導基準が「過去の自分の経験」に依存していないでしょうか。

「自分が新人の頃はこれくらいできた」「見て覚えられたはずだ」。多様な価値観を持つ現代の若手スタッフに対し、無意識に過去の基準を押し付けてしまうと、そこに大きなすれ違いが生じます。

新人が思い通りに動かないとき、「なぜできないのか」と理由ばかりを探していませんか?
能力や習熟スピードには個人差があります。欠点ばかりを指摘する指導は、新人の自己肯定感を奪い、職場の心理的安全性を低下させ、結果として「早期離職」という最悪の結末を招きかねません。

では、現代のニーズに合った「人が育ち、定着する組織」を作るにはどうすればよいのでしょうか。その土台となる育成の「2つの柱」をお伝えします。

第一の柱:能力ではなく「自院の理念」を育成の羅針盤にする

一つ目の柱は、「自院オリジナルの新人教育システム」を構築することです。

育成において重要なのは、新人の今の能力レベルに一喜一憂することではなく、「病院の理念(目指す姿)にいかに近づけていくか」です。求められる医療者像や組織の風土は、医療機関ごとにまったく異なります。他院の成功事例や、ネット上の汎用的なマニュアルをそのまま流用しても、貴院の「DNA」は決して伝わりません。

貴院の理念を体現し、患者さんから選ばれる温かな接遇や医療を提供できる人財を育てるためには、病院の根幹を礎とした、貴院ならではの血の通った教育システムが不可欠です。理念というブレない「指針(羅針盤)」を共有することこそが、強い組織づくりの第一歩となります。

第二の柱:「できない今」ではなく「未来像」にフォーカスする

二つ目の柱は、未来像の共有です。現場の指導者に求められるのは、単にタスクを教え込むことではなく、「当院でどのような医療人になってほしいか」という期待をきちんと言葉にして届けることです。貴院では、将来どのような人財に育ってほしいかを明確に描き、伝えられているでしょうか。

そのための有効な手段が、定期的な「1on1(1対1の対話)」の場を持つことです。医療現場は常に多忙を極めますが、月に1回、15分程度でも構いません。「業務の進捗や、できていないこと」を評価・指導する面談ではなく、「できるようになるゴール」や「本人の思い」にフォーカスする時間を作ることが重要です。

例えば、以下のような問いかけが効果的です。

  • 「今週、一番嬉しかったことや上手くいったことは何ですか?」
  • 「将来、当院でどんなスタッフになりたいですか?」
  • 「その目標に向けて、私たちがサポートできることはありますか?」

新人自身が描く「なりたい医療者像」に耳を傾け、共感し、その目標に向かって伴走する「コーチ」のような存在になること。それが、心理的安全性を高め、自発的な成長を促します。

定着の先にある「三方よし」の未来へ

1年後、3年後、5年後。新入職員が自信と誇りを持って貴院の医療現場に立ち、患者さんに笑顔を届けている姿を描いてみてください。

離職を防ぎ、患者さん・職員・そして病院の「三方よし」を実現する。そんな未来を創るための第一歩として、本コラムが貴院の「人が育つ仕組みづくり」の一助となれば幸甚に存じます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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