第23話:~医療は競争の時代へ~

ラ・ポール株式会社

今年は例年よりも寒暖の差が激しいように感じていたが、庭先の河津桜が咲き始め、ほんの少し、沈丁花の薫りがしている。

先日、クライアント先の看護師長さんから散歩していたら"土筆"が咲いていたと、送ってくださった画像に春の訪れ。
そんな季節の移ろいの中、もうすでに皆さんご存じのように、一つのニュースが。
いよいよ医療は競争の時代へと入っている。

全国の大病院では治療実績、患者数、平均入院日数等ホームページに公表し、
患者が病院の得意分野を比べて受診先を選びやすくする。
病院の競争を促すことで医療の質の向上と効率化を促すと厚労省が発表。

1961年国民健康保険法が改正、国民皆保険体制が確立。
国民が公的医療保険に加入し、医療費の負担を軽減することで、
医療を受ける機会を平等に保証することが目的の法律の基、
我が国の医療は守られてきたが、財源が限られてきて、
悠長なことなど言っていられない、というところであろう。

3,4年前までは、コンサルティング先の医療機関では、
病院の差別化の必要性を考えた内容を提供していたが、ここ1,2年は
患者の個別化の重要性を感じ、提案内容を移行している。

それは、以前読んだある雑誌が発端である。希薄な記憶だが

1976年初版の境屋太一氏著「団塊の世代」が的中していて、団塊世代が高齢者になった時代の予測に関するものだった。

特段、目を引いたのは、「団塊世代の性格は自分へのこだわりがある」というキーワードだった。

一瞬にして私は、医療・介護現場はまさしく個別性が存続への鍵となる。と、勝手な解釈へと至った。

個別性とは、病状に関する医療提供はもちろんだが、その患者、患者家族の医療受診への目的にあった診療方針や説明、環境、接遇応対、コミュニケーションを求めていくものであると考える。

相手の心は手に取るように見えるわけでもなく、100%の理解が難しいのは当然だが、1%でも的確にそのニーズに応えることが求められていくのだろう。

では、その1% それはどのようにして生み出すのか。

貴院スタッフはその1%を捉えるべく、感度と感性を持ち合わせているであろうか。

コンサルティング先での研修では

「あなたは、自院のどのような『人材』になりたいですか。」と質問している。

日進月歩の医療に対する技術や知識等のスキルはもちろん必要。そしてそれを提供するにはスキルに加え医療者のマインド

それらが掛け算となり、より高いレベルの人材になる。

だが、それだけではハイパフォーマンスを発揮するには足りない。

何が、足りないか。

それはフィールドつまりどのような環境(医療現場)にいるかが

大きく影響すると伝えている。

競争への階段を昇り始めた医療現場。どのフィールドに属するか、それが、医療者として最高のパフォーマンスを発揮するための一つの鍵であろう。


いかがでしたでしょうか。皆さまのお役に少しでもお役に立てましたら有難く存じます。