病院経営に効く医療接遇
「元気のあるクリニック」5つのあるある
コロナ禍でも業績が伸びているクリニックは、いったい何が違うのでしょうか。
医療接遇コンサルタント 福岡かつよと申します。
これまで「医療機関に特化した接遇研修」を20年以上にわたって実施してまいりました。
私どもは、全国各地の病院やクリニックのコンサル経験の中で、
コロナ禍でも増患・増収を実現している病院を「元気のあるクリニック」として提唱しています。
病院経営の課題解決のヒントになれば幸いです。
患者さんが病院を選ぶ基準は、ご存知でしょうか?
厚生労働省の統計調査「平成29年受領行動調査」によりますと、普段、医療機関にかかる時に「情報を入手している」者は、外来が77.7%、入院が82.6%、「特に情報は入手していない」者は、外来が17.2%、入院が13.9%となっています。
「情報を入手している」者について、年齢階級別に情報の入手先をみると、外来、入院ともに全ての年齢階級で「家族・知人・友人の口コミ」が最も高いという結果となっています。
つまり、病院の評判は「人」です。新規来院を増やすためには、全年代に対して有効です。
これは、見方を変えた場合、病院のネガティブな口コミも、患者の受領行動に大きく影響を与える可能性が高いことを示唆しています。
厚生労働省HP 2018年度調査より引用
「家族・知人・友人の口コミ」が突出して多いことがわかっています。 一方で、「医療機関のパンフレットや広告」をきっかけとする来院は、5%前後という結果でした。
患者様やご家族は、様々な条件を総合的に判断して、病院を決めていることと思いますが、「医師による紹介」と同じくらいに、「家族・友人・知人からのすすめ」「医師や看護師が親切」といった点も重要視されているようです。
「元気のあるクリニック」 4つの特徴
1.コロナ禍でも増患、増益
新型コロナウイルス感染症の影響で、全国の3分の2の病院が、赤字に転落しているという報道がありました。しかし、元気のある病院・クリニックは、増患、増益の目標を達成して、すでに、コロナ後の社会の変化を見据えた病院経営を行なっています。
※2020年6月 日病・全日病・医法協の3団体のHP引用
2.スタッフ間の関係性がよく、主体性が高い人材を育てている
院長先生や事務長さんに言われてするのではなく、主体的に行動できるチームが元気のあるクリニックの特徴の一つです。全スタッフは、病院の理念を理解し、「この病院で働けて良かった!」という前向きな姿勢で業務を行なっており、チーム連携や人材育成がうまくいっていることも特徴です。
3.互いに助け合い(離職が少ない)
元気のあるクリニックは、スタッフの離職が少ない職場であることも特徴の一つです。互いに助け合い、スタッフ間は良好な関係性を構築しています。
4.患者ニーズに合わせた適切な医療を提供している
多くの患者さんは、病院の口コミをチェックしています。GoogleマップやSNSを利用することで、病院に対する良い評価も、マイナスな評価も簡単に調べることができる時代です。
他院との差別化から患者さんの個別化へシフトを変えています。患者さんのニーズにあった適切な医療を提供しています。
「元気のあるクリニック」と「病気のクリニック」の違い
元気のあるクリニック | 病気のクリニック | |
---|---|---|
挨拶 |
・あいさつは患者さんの名前付き。 ・スタッフが目を合わせて、相手の状態に合わせたあいさつをしている。 |
・あいさつはない。 ・あいさつはカタチから指導された決まりきったあいさつ。 |
環境 |
・モノが少ない。 ・整理整頓されている。 |
・モノに溢れている。 ・掃除は自分たちの仕事だと思っていない。(契約会社がする) |
態度 |
・スタッフが明るい ・無駄話やおしゃべりはない。 |
・受付カウンターのスタッフは座ったままで動かない。 ・スタッフ間でおしゃべりをしている。 ・おしゃべりをしている時は笑顔だが、患者さん対応時は笑顔がない。 |
院長先生 |
・前向き。 ・行動力がある。 ・あいさつや掃除など、率先して行っている。 ・スタッフへ労いの言葉をかけている。 |
・スタッフの出来ないこと、やってくれないことに意識が向いている。 ・スタッフへ労いの言葉がない。 |
元気のあるクリニック 5つのあるあるシリーズ
皆さんの病院は元気がありますか?5つのあるあるチェック!
「元気な病院」10か条とは
21年にわたり、200件以上の医療機関を訪問する中で、「元気な病院」の特徴を10か条にまとめてみました。
「元気な病院」あるあるの動画は、当10か条に基づいて、シリーズ化しています。
医療従事者の皆さんにお伝えしたい「元気な病院」10か条
【第1条】電話応対は適切で親切
自院の代表者として電話対応をしている。
第一声目がはきはきと明るい声である。
お待たせせず、適宜な応対をしている。
電話「対応」ではなく、電話「応対」である。つまり、「対応」はかかってきた電話、状況等のことがらに応じること、「応対」は電話を掛けてきた相手に応じること。
【第2条】感染予防対策を徹底して清潔、整理整頓が行き届いている
医療安全としての環境整備を徹底している。
環境整備が影響されることを熟知している。
全スタッフで取り組んでいる。→担当や業者がするものと思い込んでいない。
【第3条】院内の設備案内はわかりやすい、スムーズな受付対応
どこに何があるか、適切な案内ができている。
動線にモノがおいていない。
【第4条】無駄話やおしゃべりがない
プロフェッショナルとして、業務にあたっている。
【第5条】会計ミスや保険証の返し忘れなどない
金銭の取り扱いは、信頼にも影響すると全スタッフが理解している。
確認の徹底、ミスが発生しないシステムがある。
【第6条】スタッフ間の関係性も良好、働いているスタッフが明るく、はつらつとしているか?
遅刻をするスタッフがいない。
互いに助け合うのがチームワークだと理解し合えている。
業務開始時「おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。」
業務終了時「お疲れさまでした。今日もありがとうございました。」と互いに声を掛け合っている。
起きた事象に対して、肯定的に捉えている。
【第7条】全スタッフがチーム連携を意識、効率的に業務を実践しているか
部署間の隔たりがなく、互いの専門性を尊重し合っている。
院内ですれ違う時、互いにあいさつを交わしている。
意見を出し合える環境を構築している。
【第8条】医師は患者の話しをよく聞き、治療内容について、納得のいく説明
患者さんのニーズを聴く姿勢である。一方通行ではない。
患者さんが話せている。
相手に合わせたコミュニケーションスキルを持っている。
【第9条】診察の結果、専門外だった場合、速やかに他院を紹介
他院と良好な関係性を構築して連携力がある。
【第10条】「ありがとうございます」「お願いします」と互いに尊重
言葉づかいは上司、先輩も敬語。
患者さん対応もチーム連携も、院内でたくさん聞こえてくる言葉は「ありがとうございます」