医療接遇コラム
病院・クリニック経営・組織づくり

【人事考課】院長必見!医療機関の評価で納得感を生む自己評価(前編)

病院やクリニックの賞与査定や人事考課で、スタッフの評価に悩む院長・経営層必見。
組織行動学の視点から、スタッフが納得しモチベーションが上がる「自己評価」のメカニズムと、人によって異なる2つの評価基準(内的・外的)について解説します。

病院やクリニックの組織運営において、多くの院長・経営層の頭を悩ませるのが「人事考課(スタッフ評価)」です。
賞与の査定時期や年度の変わり目が近づくたびに、「どのように評価を伝えれば納得してもらえるのか」「かえってモチベーションを下げてしまわないか」と難しさを実感している方も多いのではないでしょうか。

今回と次回の2回シリーズで、スタッフの離職を防ぎ、組織の成長につながる「納得感を生む評価のあり方」についてお伝えします。
前編のテーマは、スタッフ自身に行ってもらう「自己評価のメカニズム」です。

モチベーションを高めるのは「誰からの」評価か?

スタッフの行動を評価する際、「自己フィードバック(自分で自分を評価する)」と「他者フィードバック(院長や周囲からの評価)」の2つが存在します。

組織行動学の世界的権威であるスティーブン・P・ロビンスは、著書の中でこう述べています。

「自己の動機づけ(モチベーション向上)においては、他者からのフィードバックよりも、自己フィードバックの方が有効に働く」

では、医療機関の人事考課において、院長の評価より「スタッフの自己評価」を優先し、そのまま査定に反映させるべきなのでしょうか?
結論から言うと、そうではありません。重要なのは「どちらか」ではなく、「両方を効果的に組み合わせる必要がある」ということです。

スタッフが持つ「2つの判断基準」を知る

そもそも、人が自分自身を評価する際、大きく分けて「2つのタイプ」が存在します。貴院のスタッフの方々はどちらでしょうか。

  • 内的基準型(自分軸)
    自分自身の内なるものさしや、納得感を重視するタイプ。(例:周囲から褒められても、自分自身が「まだ完璧に業務をこなせていない」と思えば自己評価を低くつける)
  • 外的基準型(他人軸)
    周囲の意見や客観的データ、他者からの評価を重視するタイプ。(例:患者さんから直接お礼を言われた回数や、先輩から褒められたことを基準に自己評価を高くつける)

このように、人によって「評価の仕方」はバラバラです。

前編のまとめ:まずは「基準の違い」を認識する

スタッフに自己評価シートを書いてもらう際、「この人は自分に厳しい内的基準を持っているな」「この人は周囲の評価(外的基準)を気にする傾向があるな」と、院長先生(管理者側)がまず認識することが適正な評価の第一歩です。

しかし、このバラバラな「評価基準」をそのまま査定に使うと、スタッフの間に不満や不公平感を生む原因となります。
次回の後編では、実際の相談事例をもとに、「スタッフの不満をなくし、成長を促す面談・他者評価の進め方」について具体的に解説します。