【離職防止】挨拶しないスタッフが変わる!医療現場の「考える接遇」
「いい大人に向かって、いまさら『挨拶をしましょう』なんて指導したくない......」
それが、多くの院長先生・経営層の偽らざる本音ではないでしょうか。
しかし現実には、スタッフ間の挨拶が消え、部署間に冷たい溝ができている医療現場が後を絶ちません。
どうすれば、指示待ちではなく「自発的な挨拶」が生まれるのか?
その鍵は、単なるマナー教育ではなく、医療安全と組織構造にアプローチする「切り口の転換」にありました。

挨拶がない病院の「見えないリスク」
私が以前、ある総合病院の理事長先生からいただいた切実なご相談は、「患者さんにはもちろん、まずはスタッフ間で挨拶ができる組織にしてほしい」というものでした。
早速現場に入り院内をラウンドすると、すれ違っても会釈一つないスタッフが大半で、部署間での声かけもほとんど見られませんでした。
業務自体は回っているものの、スタッフ同士のコミュニケーション不足により、部署間に深い溝ができている状態だったのです。
高度な専門性が求められる現代の医療現場では、多職種連携による「チーム医療」が不可欠です。スタッフ間の挨拶の欠如は、単にマナーの問題ではありません。情報共有の遅れや医療事故(インシデント)のリスク、さらには職場の心理的安全性(話しやすさ・相談しやすさ)の低下に直結する重大な経営課題なのです。
しかし、ここで一つ注意が必要です。挨拶がないからといって、スタッフを「マナーがなっていない」と責めるだけでは解決しません。
挨拶が消えている現場の背景には、慢性的な人手不足や過酷な業務による「精神的・時間的ゆとりのなさ」、そして職種間の強い上下関係(権力勾配)が隠れていることが多いからです。
精神論に頼らない3つのアプローチ
この現状を打破するため、私はスタッフ全員に「なぜ挨拶をするのか」を根本から考えてもらうアプローチを取りました。
ただし、これを単なる「意識改革(精神論)」に終わらせないために、以下の3つのステップを連動させました。
① 「医療安全(インシデント回避)」を共通言語にする
まず、「医療従事者なら誰しもクレームやインシデントは避けたい、自分と患者さんを守りたい」という心理に働きかけました。リスクを防ぐための第一歩として挨拶の重要性を提示したのです。
その際、「多忙な他部署に声をかける時は、このトーンが伝わりやすい」といった具体的な『スキル(型)』としても共有しました。
これにより、スタッフの精神的負担(感情労働)を減らしつつ、実践しやすい環境を整えました。
② 医師・幹部層からの「率先垂範」で壁を壊す
病院組織特有の「職種間の壁」を解消するため、院長をはじめとする経営層や医師、看護部長などの幹部層に、まずは「絶対に挨拶を無視しない」「若手からの声かけに笑顔で応える」ことを徹底していただきました。
最も影響力のある上位層が変わることで、現場に圧倒的な「心理的安全性」が生まれ、ボトムアップの意見が出やすくなります。
③ 「ゆとり」と「相互承認」の仕組みづくり
挨拶を交わす精神的ゆとりを生むため、無駄な業務の削減や情報共有システムの効率化といった「構造の改善」を同時に進めました。
さらに、良い挨拶や気づかいに対してお互いに感謝を伝え合う仕組み(サンクスカードなど)を導入し、「挨拶をしたら、認められて嬉しい」というポジティブな循環を作りました。
良い習慣を「組織風土」に変える
この取り組みには、一朝一夕ではない「約2年」という時間をかけました。
なぜなら、一時的なイベントではなく、組織の「風土」そのものを変える必要があったからです。
一人ひとりが「なぜ、この挨拶が必要なのか」を自ら考え、行動に落とし込んだメッセージは日々新鮮で、院内の空気を劇的に変えていきました。
結果として、院内の雰囲気が明るくなっただけでなく、客観的な経営指標にも大きな変化が現れました。
- 離職率の大幅な低下
(人間関係のストレス軽減による) - インシデント報告の健全化
(ミスを隠さず、早期に相談・共有できる風土へ) - 部署間連携のスピード向上
誰かに「挨拶をしなさい」と指示されて行うのは、小学生までです。
「トップダウンの指示」で動かすのではなく、スタッフ自身が意味を考えられる環境と、それを支える仕組みを経営陣が用意すること。それこそが、組織風土を変革する最大の鍵となります。
とことん「考える接遇」を提供することは、必ず病院の組織力強化という成果に繋がります。
貴院でも、経営層の皆様による『率先垂範』とあわせて、スタッフ自身に「挨拶の意味」を問い直す機会を設けてみてはいかがでしょうか。
そのプロセスで、経営陣が思っている以上に、スタッフが組織や患者さんのことを深く考えていると知る瞬間がきっと訪れるはずです。
最後までお読みいただきありがとうございます。お役に立てましたら幸甚に存じます。
■ 病院の組織風土やスタッフのコミュニケーションにお悩みはありませんか?
「挨拶が形骸化している」「部署間の連携がうまくいっていない」「何から手をつければいいかわからない」といった課題に対し、貴院の現状(業務量や職種間の関係性)に合わせた具体的な改善アプローチをご提案いたします。
「まずは現状の悩みを聞いてほしい」といったご相談も大歓迎です。下記よりお気軽にお問い合わせください。
>>無料個別相談はこちら